『 醒めない夢』  

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32-2  「斉藤さん、今晩は」 「……? えっと、どなた? 」   面接の時に一度会っただけなので、思い出せないみたい。                       コマッタ。 「え~と、わたくし……」   「あーっ、深山オーナーの奥さんですね。  こんばんは。  ご無沙汰しております。  こんな時間にどうされたんです? 」 「どうお話をしたらいいのか分からないのですが……。  今少しお時間ありますか?   それとも子供さんたちがお家で待ってらっしゃいます?   日を改めてでもいいのですが1度お話させていただきたいんです。  突然で驚かせてしまってすみません」 「分かりました。  今夜は家族が私の帰りを待っていますので 別の日でよろしければお話伺いますよ? 」 「ほんとにすみません、お忙しいのに。  でもそう言っていただけて、ほっとしました」 「ずっと外で私を待ってたんですか? 」 「あ、はい」 「今夜はまた特別冷えてるから大変でしたね。  じゃ、携帯の番号を……」  私たちは次の日の日中に会う約束をざっくりして別れた。  
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