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37.15R
~深山康文と果歩の結婚生活 (34)
ちょうど上手い具合に客がパラパラと立て続けに
3人入って来るのが視界に入った。
それで私の腹が決まった。
客と男子店員を横目に、私はそう~っと細心の注意を払って
奥へと歩を進めた。
もちろん録画と録音の準備は怠らなかった。
そんな私の目に飛込んできたシーンとは?
真っ裸で……オット 違った……。
正確には互いの下半身だけをむき出しにして
シックスナインに没頭している2人の姿があった。
互いの股間に顔を埋め、その行為に没頭している。
ドラマやネット上の話だと、ここで「テメェらここで何やってんだ」と
怒鳴り込むところだろう。
◇ ◇ ◇ ◇
いくら現場を見るかもと思って心の準備はしていたとはいうものの、
よもやこの時ここでシックスナインとは……
驚きと憤怒のあまり果歩は何も出来ず、気付かれずに
そっと後ずさりしてカウンターに戻るのがやっとだった。
男子店員は接客をちょうど終えたところだった。
彼には『ふたりは取り込み中で忙しいみたいだから、私は
これで帰ります』とだけ告げてそそくさと店を出た。
男子店員は私が来たことを夫に報告するだろうか?
奥の部屋に入ったことまで言うだろうか?
あいつは反省もなく又やらかしてた。
帰り道の途上、気がつくと『畜生畜生……あんなヤツ
地獄に落ちればいい』と呟いていた。
歩きながらあるお店のガラス張りの壁の中に自分の顔を見た。
なんか、やだなぁ~何この今の自分の顔。
何もかもが絶望的だった。
気が動転して何も出来ずにいたと思っていたのに
実際は、しっかりと録画のボタンを押していた。
私ってGJ! Yeah!
そんな小さく雄叫びをあげたのは、自宅の居間で
撮れたデジカメを確認して、ふたりの現場がガッツリ
撮れていたのを確認した後のこと。
『ひゃっほぉーいっ!』
言葉とは裏腹に心では泣いていた。
その日、夫をどんな顔で迎えればいいのやら私は途方に暮れた。
理由をつけて実家に帰ろうか。
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