『 醒めない夢』  

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38. ~深山康文と果歩の結婚生活  (35) あれこれ考えている間にいつもより早い帰宅の夫が 帰ってきてしまった。           ◇ ◇ ◇ ◇  男子学生の菅田(すだ)が帰りがけにボソッと囁いてきた。  それは報告という名の言い方とは違っていた。    言うか言うまいか迷ったけど一応言っときますわ、という ような、どうでもいいような言い方に聞こえた。  なんだよ、あいつ。  俺が奥の部屋から出て来て、仲間を帰してから 今のいままで2時間もあって、客足も無くなって話す機会は あったのに、帰り際にぽそりと大事なことを話しやがる。  何か知らないが、大人しいのが取り柄だと思っていたのに ボソッと呟いただけ、のような報告に棘が感じられたのだ。  あんな大人しいのが案外怒らすとトンでもなく怒り狂って 発狂して暴力的になるのかもなぁ・・なんてそんな思考に はしっていたが、おぉ何てこったい、俺のマヌケ!!!  果歩はいつ来たんだ?  誰も俺に声かけてないだろ?  
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