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1.☑
私の夫は聞く耳持たずで私や私のほうの両親そして義両親
とあらかた近しい親族全員からの反対を押しきって会社退職後
大手系列のコンビニを始めた。
所謂フランチャイズ経営ていうヤツだ。
夫がやりたがった理由はひとつだけではなかった。
元々大手の企業に勤めていてそのまま行けば順風満帆な
サラリーマン生活を終え、優雅とまではいかなくとも
私も手に職をもつ身であれば、ふたりの年金でそこそこ
安泰な老後を迎えられたのではなかったろうかと思う。
しかし、夫はもっともしてはいけないことをやらかして
しまい、方向転換を余儀なくされてしまった。
◇ ◇ ◇ ◇
私と夫との出会いは大学時代のバイト先だった。
大学は違っていた。
就職先もまったくお互い違う職種だった。
私の母親は結婚後はずっと専業で過ごし、結婚後
数年間を除きずっと父親に不満を持ち続けてきた人。
母の口癖は『女も手に職を持たないとだめなのよ』だった。
中学生になった頃から、折に触れ母親からこの呪文を聞かされてきた
私が選んだ職種は看護師だった。
両親が些細なことで喧嘩になると、いつも下手に出て口を
閉ざすしかない母親の姿を見て、母の言い分は充分に理解できた。
大学生になった頃、周りの友達たちが
『OLになって素敵な彼を見つけて、結婚したら子育てに専念したいし
旦那さんにも尽くしたいから絶対共働きなんてしないわ』
……と口にするのをよく耳にしていたけれど、その頃にはすっかり私の中から
そんな甘い発想は少しも湧いてこなかった。
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