『 醒めない夢』  -17-

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1.☑  私の夫は聞く耳持たずで私や私のほうの両親そして義両親 とあらかた近しい親族全員からの反対を押しきって会社退職後 大手系列のコンビニを始めた。  所謂フランチャイズ経営ていうヤツだ。  夫がやりたがった理由はひとつだけではなかった。    元々大手の企業に勤めていてそのまま行けば順風満帆な サラリーマン生活を終え、優雅とまではいかなくとも 私も手に職をもつ身であれば、ふたりの年金でそこそこ 安泰な老後を迎えられたのではなかったろうかと思う。  しかし、夫はもっともしてはいけないことをやらかして しまい、方向転換を余儀なくされてしまった。           ◇ ◇ ◇ ◇  私と夫との出会いは大学時代のバイト先だった。  大学は違っていた。  就職先もまったくお互い違う職種だった。    私の母親は結婚後はずっと専業で過ごし、結婚後 数年間を除きずっと父親に不満を持ち続けてきた人。  母の口癖は『女も手に職を持たないとだめなのよ』だった。    中学生になった頃から、折に触れ母親からこの呪文を聞かされてきた 私が選んだ職種は看護師だった。  両親が些細なことで喧嘩になると、いつも下手に出て口を 閉ざすしかない母親の姿を見て、母の言い分は充分に理解できた。  大学生になった頃、周りの友達たちが 『OLになって素敵な彼を見つけて、結婚したら子育てに専念したいし 旦那さんにも尽くしたいから絶対共働きなんてしないわ』 ……と口にするのをよく耳にしていたけれど、その頃にはすっかり私の中から そんな甘い発想は少しも湧いてこなかった。
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