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 それからが大騒動だった。  みのりさんは何とか思いとどまらせようと説得したが、陸くんは揺るがないので諦めたようだ。着替えを取りに、自宅へ戻った。  私は手早く真治の昼食を用意すると、金沢へ帰る荷物をまとめる。  心配性の義母は「大丈夫なんか?」とおろおろしている。  義父は「もう五つなんやで、行かせてみればいいやろ、なあ陸」と目を細め、どんとしている。  陸くんと真治は暢気にしゃべっている。 「大きいお風呂行くか? 動物園もあるぞ」  真治の表情は義父とよく似ていた。  みのりさんが着替えを持ってくると、陸くんはすぐに車に乗り込む。チャイルドシートは付け替えてあった。  翌日、みのりさんとご主人の孝彦さんが迎えにくることになった。 「久し振りにパパとラブラブさせてもらう」  みのりさんは、真治にはサラッと言っていたが、私には電話番号の確認をする。 「ぐずったら、いつでも電話して。もしダメなら、すぐ迎えに行くし」  眉を寄せる表情で案じているのがわかる。 「将来のための練習だと思って、預かるわ」  みのりさんがふっと笑う。 「大層なこと考えんでいいよ。親なんて子どもがだんだん親にしてってくれるんやから」  そうか。力み過ぎているかと苦笑いする。 「かやちゃーん、早くー」  陸くんに手招きされて、私も乗り込んだ。
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