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「また何か言ってきたんか」  真治は察したようだ。  義母は、体にいいから飲むようにとサプリメントをくれたり、食べ物を持たせてくれたりする。  義母に悪気はない。善意を辛く感じる私の方が歪んでいるのではないか。  実は、この間から真治に相談しなければと思いつつ、まだ言えずにいることがあった。 「あのね、手術受けてみないかって」 「手術? 何の」 「子宮後屈を治す手術なんやって。知り合いのお嬢さんが、その手術で赤ちゃんができたらしいの。何人も上手くいってるんやって」 「そんな評判、当てになるんか? 手術って体に負担になることやぞ」 「そんなこと言われても、私だって分からないよ。それに、断れないし」 「嫌やったら、嫌やって言えばいいって。かや子は、人の言うこと、気にし過ぎや。この前も職場で、子どものことで言われたって言ってたやろ」  真治は周りから言われないのだろうか。適当にかわしているのか。  私は顔を上げる。 「でも真ちゃんだって、これで長いトンネル抜けられるかもって思わん?」 「うーん」 「受ける。私、手術受けるよ」  心の中で、ゴオーッと何かが燃えていた。内側から熱が放たれる。  周りの空気がゆらりと揺らぎ始めて対流ができ、風が起こる。  それはねっとりと、重くぬるい風だった。
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