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 次の土曜日、真治が会議を終えて実家に帰ってきた。  義母と昼食の用意をしていると、表で車の止まる音がする。  うるさく何度もチャイムが鳴るので、真治が玄関に向かう。  すると誰かが廊下をバタバタと走ってくる。 「ばあちゃん! 真ちゃんが追っかけてくるよお!」  5才になるおいっ子の陸くんだ。  真治がガオーッと言いながら入ってくる。  興奮状態の陸くんがキーッという超音波のような声を発しながらテーブルの周りを走る。 「こらこら陸ちゃん! 今に頭ぶつけて泣かなあかんのよ」  私は、子どものテンションがどれ程になるのか見当がつかなくて、ハラハラする。  真治の妹の、みのりさんが入ってくる。 「ごめんねえ、うるさくして」  ビニール袋に入った野菜を渡してくれる。ご近所から、たくさん頂くらしい。 「ありがとう。お昼ご飯は?」 「いい、食べてきたし。お茶だけもらうわ」  みのりさんは漬物の鉢からきゅうりをつまむ。 「みっちゃん!」義母にみつかる。  陸くんは真治につかまってしまった。ソファの上でくすぐられている。 「陸くん、いやあって言ってるけど楽しんでるんだよね?」 「うん。お兄ちゃんしばらく相手しててよ」  わが子とは言え、先程みたいなことが日常だったら、時には休みたくなるだろうか。
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