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白波の
白を積む音 幾星霜
つみ返しては
あした白浜
波を避け
頭を突き出す海坊主
返す返すも憂う眼で
砂浜は、季節の寒さも暑さも感じさせない、波の音だけを繰り返し響かせる寂しげな場所。
立ち上がった兄に、向こうへ行こうと身振りで誘われました。その先には、真っ暗な林道の入り口が見えます。
海原で泣き続ける白波に呼ばれ振り向くと、波の間に、鯨よりも遙かに大きな、真っ黒い海坊主が何匹も頭を突き出しています。
じっとこちらを見つめる眼差し。
「行ってきます」
私は彼らに挨拶だけを残して、兄に続いて行きました。
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