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兄私 後ろに続く狐火ら
小声を拾えば 恋の密やか
靄に見る町の灯りは
火に非ず 月に非ずの
遠いぬくもり
私たちの列は、いつの間にか増えていました。
狐火らがポツポツと、背中を追ってくるのです。
ふわふわ揺れる幼子たちの内緒話は、見よう見まねの恋を楽しむ無害な童話。もう少し声を抑えてくれないと、お姉さんがみんなの好きな子を覚えちゃうよ?
濃い靄に包まれた林の奥に、町の明かりが見えました。目的地はあそこでしょうか。
霧被り 子細とぼけるモッケ町
硫黄と下駄に 湯の処かな
随分と繁盛している町のようで、大通りは様々な妖怪が闊歩していました。はぐれないよう、兄と手を繋ぎます。
引っ張る手が止まったのは一軒の旅館。ここが今夜の宿なのだそう。
お部屋に着いたら、さっそく温泉をいただきに参りました。
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