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夢らしい夢
夢と知り
知っても未だ夢の中
握った砂の心許なさよ
目を開き
空の低さの恐ろしき
抱きついたモノは我が兄の匂い
目を覚ました場所は、生まれてから一度も見たことのない砂浜でした。
低すぎる空に、どんよりと虚しさを感じさせる空気から、ああ、現実では無いのかと悟るに至ります。
同時に、恐ろしさに身が震え、隣に座っていた骸骨に抱きついてしまいました。
もっとも、その者が骨だと気がついたのは、腕に抱えた後のこと。そして、この骨が兄なのだろうと、馴染み深い匂いから簡単に推測できてしまうのです。
骨は、生身の頃の兄からは想像も付かないほど軽く、私が勢い余って転ばないようにと体を支えられたのですが、むしろ、その腕が折れてしまわないかと心配になったほど。
大丈夫? と慌てる私に、兄は微笑みました。
頭蓋骨の頭でも、微笑んだことぐらいはわかります。
大切な兄、ですもの。
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