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ひまわりの浴衣
「ほら、できたぞ。なかなかうまくできただろう」
きゅっと帯を結ばれて、目の前の鏡に映る姿に葉月(はづき)の心はぱっと明るくなった。
うしろからもぽんと背中を叩かれる。浴衣を着つけてくれた親戚のお兄さん・相賀(おうか)によって。
「すごくかわいい!」
鏡に映る葉月は普段とまったく違う姿になっていた。小柄な背丈とふたつにくくった黒髪は同じであるけれど、夏の着物、浴衣姿。
普段、和服を着る機会などない。七五三とか、そういう機会でもない限り。あとは今回のように、夏のイベントごととか。
まだ小学六年生である葉月にとっては、浴衣というだけで特別なものなのだ。
おまけに今日、着せてもらったものは特別にかわいい。キナリ色の麻生地にひまわりの花の柄。明るい性格の葉月によく似合っていた。
「葉月が来るんだからな」と、相賀がわざわざ用意してくれたもの。八月のはじめ、夏休みなのだからと泊まりに来てみたら、こんな素敵なものが用意されていた葉月の心など想像に難くないだろう。
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