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翌朝。
そんなこと簡単に大和は言うけど、きっとみんな僕なんかと関わり合いたくないって思ってるから避けてるだけだろ?
教室に入ると、ざわざわと談笑しあう何人かの視線はいつも感じる。
だからと言って、僕に話しかける人なんていない。
感じ悪いってきっと思われてるし、もう二学期なのに、今さら挨拶とか…。
そうこうしているうちに自分の席につく。
隣の席には、眼鏡をかけたクラスメートの男子が本を読みながら過ごしていた。
挨拶してもどうせ返ってこないんだから。
大和みたいに明るく言えたりしたら苦労しないんだよ僕も。
なんて思いながらそのまま席につこうとしたら、浮かんだ大和の笑った顔が僕の心を蹴飛ばした。
「…。」
ああ、もう!!
もし無視されたら、大和に死ぬほど文句言ってやる。
プリン山ほど買わせてやる。
1つ息をつくと、僕は隣の席に向かって呟くみたいに溢した。
「…おはよ…。」
「…。」
「…。」
ほら、やっぱりね。
やっぱりみんな、僕なんて…、そう思ったとき。
「お…おはよ!周防くん、おはよ!!」
物凄く驚いた顔の、その子から、物凄く勢いのある挨拶が返ってきた。
「う、うん…。」
あまりの勢いにびっくりした僕に、その子の顔がかぁ…って、赤くなる。
「あ、…ご、ごめん…。周防くんから声かけられたのなんて初めてだったから、なんか嬉しくて…。」
「あ…、うん…。」
なんだかちょっと気恥ずかしい雰囲気になって、僕は逆に大和に文句を言ってやりたくなった。
どうしてくれるんだよ、このなんとも言えない空気。
やっぱり帰ったら文句言ってやる。
そんなことを思いながら少し顔を赤くして座る僕に、そのクラスメート(山田くん)は続けた。
「周防くん、バスケ部にお兄さんいるんだよね?僕少し話したことがあるんだ。」
「あ…、そうなんだ。」
意外な接点だ。
なんで大和が山田くんと…?
「周防くんのこと探してたみたいだったんだけど。」
あ、あの時か。
思い返す僕に山田くんは笑いかけた。
「お兄さん、すごく優しそうで、すごくかっこいいね。バスケも上手いんだって、僕の知り合いのバスケ部の子が言ってた。」
「…。…うん…。」
…大和のことを褒めてもらえて、僕もなんだかすごく誇らしいような嬉しい気持ちになった。
そうだよ、大和は世界一優しくてかっこいい僕の兄。
そして、僕の恋人。
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