誰のせいかと言われたら。 〜side凛

「ん…っ、…んっ、…あっ…ん」

親二人がいないわけだから、声を出しても問題ないんだけど、なんだか凄く恥ずかしい。
手の甲を口元に当てて、なるべく漏れ出さないようにした。

頭が、身体が、熱い。

向かい合って、大和の膝の上に乗せられるみたいにして、大和がちゅ、ちゅって唇で首筋や耳たぶなんかの弱いとこに触れる。
半分ずらされた下着の中では、大和がすっかり熱を持って勃ち上がった僕のソレを大きな掌で刺激し続けていた。

「ぁ…ん…っ、やっ…っ」

そこはすでに溢れ始めた透明な僕の蜜でぐちゃぐちゃになっていて、大和の手を濡らしていた。

ふいに伸びてきた大和の長い指が、僕の胸先に触れる。
下で激しく感じているせいか、胸元の小さな飾りも硬く張り詰めそうになっていた。

「あ…っ、あぁっ…大和、それ…ダメっ」
「なんで？胸弱いの？」

掌が大きい大和の指先は太くて、でも繊細で器用だ。
くに、くにとそこを優しく擦られ、きゅ、と摘ままれ弄ばれると、快感で身体が震える。
絶えず扱かれ続けるそこからまた蜜が溢れて、にゅるにゅると大和の手の滑りを良くしているのが自分でもわかった。

「…あっ、ぁ…、も、やだ、恥ずかし…っ」
「凛、エロすぎ。」

大和が口角を上げたかと思うと、胸先に生温かくて生き物みたいな熱い感触が触れた。

もう、ダメだ。
僕はこれに弱い。

「あっ、あっ…、あぁっ！」

大和の長い舌が何度もその小さな飾りの上を行き来する。
ペロッて舐められてたかと思うと、ちゅぅって優しく吸われる。

その間も下に刺激を続ける大和の大きな掌。
自分が追い詰められていくのがわかった。

つぅ…って小さく舌を出したまま、大和が反対側の胸先に移動する。
さっきまでと同じように、ちゅ、ちゅってそこを可愛がられる。

「あっ、ぁっ、やま…とっ…」
「ん？もうイきそう？」

胸元の大和に、必死で頷いた。
大和の手の動きが少しだけ早くなる。
時折蜜を絡ませるみたいに、親指の腹で先端をくりくりって撫でられる。
絶えず上下する掌からにちゅにちゅ、って立つ音が恥ずかしくて、それがまた耳から僕を苛める。

ふと視線を胸元にいる大和に向けると、小さく舌を出してそこを弄ぶ彼と目があった。

短い髪の下の、いつも優しげな目。
いつも僕に笑ってくれる、あの穏やかな目。
そこに確かにいつもとは違う、熱みたいなのが宿っていて、その表情は男らしくて、欲情したオスだ。

僕がそんな顔を大和にさせてる、と思うと背中がゾクゾクってなる。
同時に大和の掌に導かれ、腰の奥からせりあがってくるものをこれ以上堪えることは出来なかった。

「あっ、もぅ…っい…っく…っ…、ん…っんんっ…っ」

口にした瞬間、大和が僕の唇を塞いだ。

「…〜〜〜っ、」

くぐもった僕の声が、二人の唇が合わさった場所から漏れ出す。
びくびくって身体が震えて、大和の掌の中に熱を吐き出す。

頭が真っ白になって緩んだ唇に大和は舌
を絡めてきた。
ちゅ、ちゅる…って、舌を吸われるみたいにされて、また身体が震えた。

「は…ぁっ…」

全部が気持ち良すぎて、思わず力が抜けた僕の身体を大和が抱きしめるみたいに支えてくれる。

…あったかい。

大和の身体は大きくて、温かくて、安心する。
大和の胸に額をつけるようにしてもたれたまま、呼吸が整わない僕の背中を、大和の掌が優しく何度も擦ってくれた。
魔法みたいに心地いいその掌が、大好きだ。

「気持ち良かった？」
「ん…。」

僕がまともに答えるなんて大和はきっと思っていない。
わかってて、いつも聞いてくるんだ。

だから、たまには…。

ちゅ…と、自分から唇を合わせて離れると、大和の目が驚きで大きくなる。

「…すごい、…気持ちよかった。」

大和の胸にもう一回すり寄るみたいにもたれながら呟くと、大和の動きが止まった。

「…？」

不審に思って胸元から大和の顔を見上げると、何がツボに入ったのか、真っ赤な顔をして言葉を失くしたみたいな表情をしていた。

「…凛…。すげー可愛い！」
「ちょ…っ、苦しいから…！」

バカ力でぎゅうっと抱き締められて思わずまた咎めるような声を出してしまう。
まぁ、いつもそんなのでへこたれてくれる大和じゃないから、結局腕の中でおとなしくするしかないんだけど。

…て、いうか…。

大和の膝の上に向かい合うみたいに乗っているこの態勢で。
ふと、僕の太ももあたりを掠める感触に気づいた。

…あ、そうだ、大和は…。

「…大和、まだ…。」
「ん？あ、俺はいーの。凛が良くなったらそれでいい。」
「嫌だ、そんなの。…今度は僕が…。」

そう言って身を屈めようとした僕を大和が制するみたいにぎゅ。と抱き締めた。

「もう眠いだろ、凛。今日はもういいから。」
「…だって、僕ばっかり…。」
「俺がしたかったからいーんだって。…今日はもう寝ような。」

そう言って大和は僕の服を整え始めた。
僕は納得がいかない。

だって、服の上からもわかる、大和の熱。
収まる気配がない。

「…。」

黙りこむ僕に、大和があ、またこいつあのモードに入ったな、って顔をした。

「…なんで僕にさせてくれないの。」
「いや、なんていうか…、凛が触ったら俺多分我慢できなくなるっていうか…。」
「…我慢、とかする必要ないじゃん。」
「…。」

僕が見上げると、大和は黙ったまま少しだけ困ったような顔をした。

なんで、そんな顔するんだろう。
大和になら、何されたっていいのに。

何も言わない大和が、また唇を寄せる。
ちゅ、ちゅ…って唇を交わしながら、優しく背中を擦られているうちに、さっき盛大に欲を吐き出した僕の身体は、少しずつ少しずつ眠気の波が押し寄せてきた。

嫌だ…。
大和にも、気持ちよくなって欲しいのに…。

「ん…、まだ寝るの、やだ…。やま…と…」
「…おやすみ、凛。」

抵抗する気持ちとは裏腹に、大和の高い体温に抱き締められながら、僕の瞼は少しずつ閉じていった。

大和の傍は温かくてやわらかくてふわふわしてる。
それは紛れもなく幸せの形だ。
嬉しくて、優しくて、泣きそうになる。

僕をこんな気持ちにさせるのは全部全部、大和のせいだ。

大和が好きだ。
こんな気持ちをくれる、大和が大好きなんだ。

だから。

大和に僕の全部を貰って欲しい。
…僕を全部、大和のものにして欲しい。

それを全部伝える間もなく、僕は大和の傍で、心地よい眠りの中へと落ちていったのだった。