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先生が言う「可愛い。」は、やがて「好きだよ。」に変わって言った。
初めて与えられる言葉に、心が甘く締め付けられるような感覚だった。
誰もいない美術室や、準備室で何度も何度も先生とキスをした。
ある日、いつもみたいに準備室でキスしていたら、先生が後ろ手に準備室の鍵をかける音がした。
キスだけですっかり身体中の力が抜けたみたいになっている僕を、先生は準備室に置いてあるソファの上にそっと押し倒した。
いつも絵筆を握る、先生の大きな掌や、長く細い指が、はだけた服の合間から僕の身体を辿っていく。
何が起こるかわからないほど子どもじゃなかった。
先生の、淡々とした中に宿る艶を帯びた表情はそれだけで僕の欲情まで呼び起こさせるみたいだった。
先生の手が勃ち上がりかけた僕の性器に触れる。
自分のじゃないような甘い声が漏れた。
舌で、指で溶かされていく。
怖いのだってもちろんあった。
でも、先生が僕を求めているんだ、という嬉しいような泣きたいような気持ちの方が大きかった。
そうして、やがて先生が僕の中に入りこんで、初めて受け入れた質量は、凄まじい痛みと熱を僕にもたらした。
涙まで滲んできたけれど、必死で痛い、と悲鳴を上げそうになる声を押し殺した。
この人は、僕を好きだと言ってくれる唯1人の人。
この人がいなくなれば、僕はまた独りになる。
だから、嫌だなんて言えなかった。
そのうちに、段々と異物感と痛みだけだったそこに確実に何か違う感じが生じてきて、それを逃すみたいに僕は甘い声を漏らし続けた。
やがて、小さく息を詰めた先生が後ろから熱いモノを引き抜いて、僕のお腹の上にどろっとした欲を吐き出す。
同時に勃ち上がった僕のモノも、先生の大きな掌で二、三度扱かれ、僕も自分のお腹の上に先生のと混ざり合うみたいに熱を吐き出した。
ただ、2つの息遣いだけが静かな室内に交わって響く。
そっとまた唇を寄せた先生と、舌を絡ませながら、満たされない心が、身体で満たされていく気がした。
…放課後の美術準備室は、僕と先生との秘密の場所になった。
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