389人が本棚に入れています
本棚に追加
「で、昼ごはん初めて一緒に食べたら、その子さ、山田くんって言うんだけど、山田くん、理沙さんのお弁当に凄く凄く感動しててさ。」
「…そっか、良かったな。」
良かったな、って笑う大和がいつもみたいに後ろから僕を抱き締めながら、よしよし、って頭を撫でてくれた。
クラスの子と一緒に昼ごはんを食べたことなんて初めてで、もちろん嬉しかったけど、一番はこうして大和に誉められたかったんだ。
僕が学校の話をしたら、大和はほんとに嬉しそうに笑う。
大和のおかげで、僕の世界は180度変わった。
モノクロだった世界に、急に色がついたみたいだった。
大和が好き。
そう思うだけで、僕も強くなれる気がする。
「ちゃんと大和に言われたみたいに頑張ったんだから、もっと褒めて。」
「おー。えらいえらい。」
わしわしと大和が頭を撫でる。
「もっと。」
「凄いなー、凛。」
「…そんなんじゃダメ。…もっと。」
くるって身体を回転させて大和の方を向く。
大和の広い胸に手を当てて、そのまま頬を寄せると、大和の纏う空気が変わった気がした。
「…凛。」
どこか切羽つまったみたいな大和の声に顔を上げると、すぐに大和の唇で唇を塞がれる。
最初は短く触れて離れただけのキスは止まらなくて、すぐに長く、深いものに変わっていった。
「…っ、はぁ…大和…っ」
舌と舌を舐め合うみたいなキスに身体中が熱くなる。
大和とはこうしてたまに戯れみたいに触れ合ったりするけど、肝心なことはまだ何もしていなかった。
「煽んないで、凛。」
「むり…。…大和、もっと、」
今日は父さんの仕事先のパーティーに理沙さんも同席していて、二人の帰宅はかなり遅くなるって、大和も知ってる。
「…もっと、して。」
いつも優しい大和の瞳の奥に、ゆらって熱が宿ったみたいに見えた。
最初のコメントを投稿しよう!