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仔馬誕生
1月18日18時。一頭の牝馬が全身から汗を流していた。
出産を間近に控えた彼女は、仰向けに寝て天井を見上げることにしたようだ。
「今日の出産はカグヤドリーム一頭か」
「何としても元気な赤ちゃんを産んでもらうぞ。何せ中にいるのは未来のダービー馬だからな」
牝馬カグヤドリームは目を半開きにしながら牧場関係者を眺めていた。そのセリフは去年も聞いたと言いたいのだろう。
その直後に、彼女は目を大きく開いた。まさかという様子で入り口に目を向けると嘶きが響いた。
『遂に生まれるのか!』
姿を見せたのは栗色の馬体を持つ牡馬ドドドドドドドドドだった。彼の特徴と言えば4脚の脛から下が白い毛で覆われているところだ。
『あなた…その格好は…』
ドドドドドドドドドは緑とライムのチェック柄の覆面や馬衣装を纏い、まるでレースにでも臨むかのような雰囲気で妻の出産に立ち会おうとしている。
『そのお腹の中にいるのは、お前の仔であり私の仔…私も精一杯応援させてもらう!』
『お気持ちは嬉しいのですが…そこにいると人間たちの邪魔に…』
『あ、ああ…すまない』
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