カグヤドリームとの生活

4/13
前へ
/19ページ
次へ
 カグヤドリームは頷くと言った。 『ああ、それはね…大きくなると馬房という部屋がもらえるからなのです』 『へやか…ぼくもおおきくなったらもらえるの?』 『もちろんです』  その仔馬は『なるほど…』というと今度は馬房を見渡し始めた。その瞳は壁や出入り口、ワラなどを映していき、やがて換気用の小窓に向いた。 『これは…なに?』 『窓ね。お外を見るためのものです』 『そと…?』  仔馬がキョトンとした様子で首を傾げると、カグヤドリームは再び頭を舐めながら言った。 『吹雪が止めば、出られるかもしれません』  翌日も吹雪は止まず、この仔馬が外に出られたのは生まれて3日後のことだった。  1月の北海道の気温はとても低く、外は一面の雪景色に覆われている。仔馬の体調を気遣った牧場関係者は、綿の編み込まれた衣装を仔馬に着せ、比較的暖かい11時頃に建物から連れ出した。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加