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『しろい、あそこも、ここも、そこも、ぜーんぶまっしろ!』
仔馬が踏み出すと、踏み固められた雪がズズズという音を立てた。仔馬は自分の付けた足跡を面白がって眺めている。
『あなだ、あなっぽこがあいてる~!』
『あまり下ばかり見ていると転びますよ』
カグヤドリームが少し進むと、仔馬は不思議そうに言った。
『あれ? おかあさんがちいさくなった?』
仔馬はそう言いながら、一歩二歩と後ろに下がっていく。
『ん、んんん? さらにおかあさんがちいさくなったぞ?』
カグヤドリームは振り返ったまま自分の息子を不思議そうに眺めていた。その仔馬は今度は前に一歩ずつ近づいてくる。
『おおきく、もっとおおきく…すごくおおきくなった。どうして?』
その質問に、カグヤドリームは難しい表情をした。私に聞かれても困ると言いたいのだろう。
仔馬は少し悩むと、今度は氷柱に目をやった。
『ねえ、おかあさん…これなあに?』
『氷柱です』
『つらら?』
『はい。雪が解けるとこうして固まることがあるのです』
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