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ドドドドドドドドドが馬房の隅に腰を落ち着かせると、今度は別の馬が姿を見せた。
ドドドドドドドドドに比べれば圧倒的に小さな馬だが、白いたてがみと尻尾を持つ、尾花栗毛と呼ばれる姿をしている。
『チャチャカグヤ…貴女は…!』
『お願いです母上。どうか私にも見守らせて下さい!』
牧場関係者は困った顔をしながら、カグヤドリームを見た。
『仕方ありませんね。終わったら自分の馬房に戻るのですよ』
そう答えが返ると、幼牝チャチャカグヤは嬉しそうに微笑んだ。父ドドドドドドドドドも『こっちに座りなさい』と言いながら、チャチャカグヤを招いている。
『はい、父上』
この時点で、仔馬の出産を見守るには大所帯だが、まだ登場人物はいるようだ。
駆け足ででやってきたのは、身なりの良い壮年の男性と、高校を卒業したばかりという雰囲気の少女。出産に立ち会っている牧場関係者が「オーナー!」と声をかけると、壮年の男性は手を前に出し、私のことは気にするなという様子で作業を進めさせた。
「ツバメ、カグヤドリームの言葉は、一字一句間違えずに緒方さんに伝えなさい」
「そのつもりです、お父さん!」
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