仔馬誕生

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 それからおよそ15分ほどで、カグヤドリームは苦しみだした。  オーナー、ツバメ、ドドドド、チャチャカグヤの4人が身を乗り出して口々に叫んだ。 「そろそろ生まれるのか!?」 「うん、そろそろみたい!」 『頑張って下さい、母上!』 『誰か、汗を拭いてやってくれ!』  ドドドドの呼びかけに近くのスタッフが応じた。彼が慌ててタオルを手に取るとカグヤドリームは心配ないという様子で首を振った。 『大丈夫…この程度、東北…北陸杯に…比べれば…!』  実はカグヤドリームは日本最高峰のレース。通称G1レースの1つを制した名牝である。彼女はまるでゴールを見据えるようにじっと壁を睨んでいた。 『聞こえる…大勢の観客の声と…抜けるような青い空…それにゴールが…!』  オーナーは脂汗を流しながら「大丈夫なのか?」と白衣を着たスタッフに尋ねた。するとそのスタッフは安心した様子で笑った。 「オーナー、彼女はカグヤドリームですよ。油断こそできませんが…やり遂げてくれると思います。それにほら…聞こえるでしょう?」 「何がだ?」 「中継の声ですよ」  オーナーは半信半疑という様子で耳を澄ませた。すると、その口が"お…!?"という形になっていく。
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