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「褒める所ですか?じゃ、私はどうして」
「貴女を信用しているのでしょうね」
「私を?」
そんな希美はバッグで枠内に停めようとゆっくり挑戦していた。
「そうそう。線を目指して……そう」
「あの。なぜ私が?」
無事に停めた様子をバックモニターを冷や冷やで見ていた長澤は脂汗を拭った。
「まあ、ぶつけなきゃ良いか……ん?なんの話でしたかな」
以前。希美は会社の車でこのリムジンにクラクションを鳴らした事があると長澤が笑った。
「そんなこと有りましたっけ?」
「会社の前です。確かに私は邪魔な所に停めていたのでそれで正解なんですよ」
こんな高級車にクラクションを鳴らす強気な女社員を社長は調べていたと言う話だった。
「大した太い神経だとそれはそれは褒めておいでで」
「嬉しくないですね」
そんな二人は車から降りた。長澤の腰が相当まずいようで彼は杖をついていた。
すると社長から連絡が入った。
「希美さん。出動です」
「はあ、長澤さんも一緒にお願いしますね」
こうして希美は白い手袋をつけ、社長のお抱え運転手を始めたのだった。
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