その手が

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お風呂からあがり、男性に借りた服に着替えるとだいぶ大きい下着も無くて落ち着かない。 リビングに顔を出すと 「温まったかい?」 優しい笑顔で声を掛けられる。 「あの、色々とありがとうございます。ご迷惑おかけしてすいません。私、佐藤優と言います」 「僕も佐藤なんだ、佐藤健志。さすが多い名字No.1だね」 屈託ない笑顔を向けられた。 「優さん。お腹空いていない?大丈夫?」 出会って間もないのに何度「大丈夫」と言われたか、こんなにも誰かに気を掛けて貰った事が今まで有っただろうか? 「お風呂お先にありがとうございました。佐藤さんも温まって下さい」 「お互い佐藤だから僕の事は健志でいいよ。じゃあ、お風呂入ってくるから休んで、部屋はそこのドアだから」 健志さんは、パタパタとお風呂場に向かって行った。 ニャーっと、白猫が足元に摺り寄ってくる。 私は、猫を抱き上げ 「猫ちゃんのご主人様は、ずいぶんお人好しで優しいのね。猫ちゃん、良い人に飼われて幸せね」 猫は、言葉が分かるのかニャーっと鳴き撫でてあげるとゴロゴロと咽喉を鳴らした。 生き物の温かさ柔らかさに触れ自然と微笑みがこぼれる。 「猫ちゃんは、なんて名前なの。いいなぁ。幸せそうで。私も猫になって可愛がってもらって、大きな手で撫でてもらって、お昼寝したいなぁ」
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