その手が

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左腕を強く捕まれ、体が引っぱられると次第に体に重力を感じた。 口の中に息を吹き込まれ、ゴホッゴホッと咽返る。 苦しい……。 体が水を拒絶するかのように嘔吐する。 「大丈夫か?」 背中を擦られ声を掛けられた。 誰?なに? 何が起きているの? 水を吐き続け、苦しい。 「大丈夫か?死のうとするなんて、バカなことを」 死ぬ? 誰が? 私? そうか、私、死ぬところだったんだ。 咽る私の背中を擦り「大丈夫か?」と何度も声を掛けられた。 いつものように ”私は平気だから気にしないで” と言えばいいのに  その言葉が出てこない。 だって、平気じゃない。もう限界だった。 「大丈夫か?」 この言葉を聞いた瞬間。 景色が歪み私の目からは涙が溢れ出す。
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