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「暑いな」
本日、日曜日はパーティー開催日。すでに15時をまわり暗くなってくるはずなのに太陽が物凄く元気だった。
「何度あんだろ」
俺はポケットからスマホを取り出すと気温をしらべた。そこには16度と表示されている。暑いわけだ、普段よりも10度以上も高いのだから。道のはしに積み上げられた雪も悲鳴をあげるかのように溶け出していた。
「ほんとに夏みたいだな、知らないんだけど」
と、歩いている間に学校に到着した。校門のあたりからあの教室が見えるのだが既に誰か来てるようだ。窓に思いっきり夏祭りって字がが書いてあるからな。
玄関から上履きに履き替え階段をのぼろうとした時後ろから声をかけられた。
「佑斗君、こんにちは!」
振り返るとそこには先輩がいた。
「……………………」
「あ、あれ? ど、どうしたの」
「……………………」
「お~い、ゆ・う・と・く~ん!」
はっ! やばいやばいなんかいろいろ飛んでた。でもそれも仕方のないことだった。先輩がその…………浴衣姿だったから。
「あっ、すいません。つい、びっくりしてしまって」
? とした顔をしていたが自分の服装にやっと思い至ったのか照れたようにエヘヘと笑った。
「そ、そうだった、浴衣着てたんだったね」
「ええ、凄い似合っててびっくりしましたよ」
「えへへ、ありがとう」
「もしかして俺が最後ですか?」
「うん、でもまだ準備だし大丈夫だよ。ほら行こ」
先輩に促され会場である教室に向かった。
教室に入るとゴー、といつもの暖房の音だけはそのままに普段とは全然違う雰囲気になっていた。
「おそいわよ、佑斗!」
「いや、別におくれたわけじゃないだろ」
めぐるに怒られながら美羽や隆也にも挨拶をする。そして、赤井さんやめぐるは勿論浴衣を着ていた。
「赤井さんそれ凄い似合ってるな」
「え、そうかな? へへっ。体型的にあまり似合わないかと思ったんだけど」
「そんなことない、むしろなんか良い!」
親指をグッと立て太鼓判をおす。が、
「なんか、こ、怖いよ……」
怖がられてしまった。
「何やってんのよ!」
べしっと毎度のごとく叩かれながら教室をぐるっと見回した。窓には夏祭りと書かれそれ以外にもお面やらヨーヨーやらそれっぽい飾りが大量につけられていた。
「よく、こんなに集めたな」
俺が感心してそんなことを言うと隆也がこっちによってきた。
「佑……俺の全財産なくなったぜ……」
「お、おう……」
隆也の物凄い顔をみてそんな言葉しか返せなかった。つまり、この教室にあるほとんどの物をネットかなんかで隆也が買わされたのだろう。相変わらず可愛そうな奴。
(今さらだが俺は隆也に佑と呼ばれているぞ。キリッ✨)
「結構大変だったのよ、特にこれ」
指差した先にあったのはかき氷機だった。電動ではなく手でくるくる回すあれだ。
「凄いな、こんなもんまで」
「でしょ。それに結構値段が高くて私も少し出すことになっちゃったのよ」
はぁとため息をつくめぐる。心でお前が全部出せや! とつっこんだが言葉には出さない。なぜならそんなことを言えばあんたが出しなさいよと言われるだけだからだ。
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