私が泣いた理由が、

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私が泣いた理由が、

【私が泣いた理由 コンテスト応募作品】 部屋の隅、中古で買った古いスピーカーから、アップルミュージックのプレイリストが流れている。 私はその音を聞きながら、どうしてこうなっちゃったのかを考えてる。 昨日の夜、行きずりの男とセックスした。 理由なんてなかった。ただ、したい、と思ったから、しただけ。 その男とはバーで出会った。 目は薄く、はばひろの二重で重だるそうなかんじ。 髪も私好みの、男にしては少し長くて、ウェーブがかかっていた。天然なのか、わざとかけているのか、私は知らなかったけれど。 唇も薄かった。何もかも、「完璧」だった。 ベッドの後、彼はタバコを吸った。20点。 一口に吸う勢いが早かった。40点。 愛のないキスを、私の頭にした。90点。 終わると私より先にシャワーを浴びた。100点。 ねぇ、どうしてこんなになっちゃったんだろう? ぽろりと溢れてるなみだを拭ってくれる人も、疑問に答えてくれる人も、居ない。もう、いない。 ああ、私が泣く理由が、私だけで完結するものだったら、よかったのに。 End
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