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「……どう責任を取ってくださるおつもりで?」
ただただおびえているだけの編集長。何も答えようとはしない。次の謝罪の言葉をどう述べようか、考えあぐねているのだろう。
哲は嘲笑する。
「……なあんて、大丈夫ですよ、編集長。言ったじゃないですか。怒ってないって。……取って食おうなんて考えてませんから」
編集長の体の震えはおさまらず、頭を上げることもない。哲は正直、退屈になってきた。ため息をつく。
「いい加減、頭を上げてくれますか?当の記者本人も来たようですし」
編集長はぴくりと反応し、おそるおそる頭を上げた。
「とはいっても、こういうクレームは上に言うようにしてるんです。下に注意するのは上の役割じゃないですか」
哲の声色も、表情も、穏やかだ。しかしその目の冷酷さは、失われていない。
「それにね、別に悪いことばかりではありませんでしたからね」
「……といいますと? 」
編集長はけげんな顔で尋ねる。
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