EP.6 人のうわさはいつまでも続く

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 哲よりも冷淡で、哲よりも強い殺気。  女は、本能で敵わないことを悟る。恐怖におののきながらゆっくりと後ろに下がった。 「わ、私を殺したら、ボスが黙っちゃいないよ? あたしのボス、知ってるだろう? そ、それに……あたしはあんたの息子を殺しちゃいないよ」  尻の上に、何かがのせられた。もう、後ろに下がることができない。後ろから、くだけた口調の男の声が落ちてきた。 「ボスだって、皐月にやられてすごすご戻ってくるようなやつ、いらないんじゃねえか? 」  女の尻に片足を乗せた健一は、いたずらっぽく笑った。 「そういや、あんた、またあこぎな商売してるって? 人殺し真っ最中のテープが、闇市場に出回ってるって聞いたけど? ん? 」 「そんなこと、僕には関係ない」  和也がレイピアを抜き、女に近付く。 「僕にとって大事なのは、この人が皐月を殺そうとしたってこと」 「ま、待って!」  女は声を張り上げる。和也の動きがぴたりと止まった。 「話す!話すから! あたしが関わった事件のこと全部。あたしに指示してきたやつのことも、関わってるやつのことも話すから」  後ろにいる健一が悩まし気に言う。 「うーん……それはそれで気になるけど。別にそこまで知りたいってわけじゃ」 「どうでもいいよ」
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