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『俺たち、妖怪カンパニー!2 〜いただきますは、愛のカタチだぜ』
ここはいにしえの妖怪達が働く会社。
見える人には見えるが、見えない人にはまったく見えない。
「ダァーッ!!まだ人間に認知されないの?みんな妖力開放してる!?」
朝から。
そう、朝から河童社長の激が飛ぶ。
妖怪が朝に弱いなどと勘違いしてはいけない。
妖怪カンパニーで働く妖怪達は、朝も昼も夜も関係なく元気いっぱいなのだ。
けれども悲しい事に、未だに人間達に認められてはいない。
「開放どころかマックスだが」
赤鬼、青鬼、黒鬼達は、自慢の金棒をブウンと振り回す。
「ダメダメ!会社では金棒振り回さないで!この前も窓の強化ガラスを突き破ったでしょ!」
「面目ない……」
河童社長に叱られた鬼達は、小さくなってしょぼくれる。
「河童社長、大変だ!」
烏天狗の集団が、窓を突き破り入って来た。
河童社長、ガックリ。
今月も無駄な経費に悩まされている。
「……大変って何がなの?」
「裏の川の水が汚染され、小豆洗いが怒っている。アンパンのクオリティ低下問題だと!」
「我社自慢のアンパン危機!」
「環境破壊問題発生だな、ボス!」
烏天狗軍団は、口々にそれらしい事を言っているが。
これも毎度の事。
「なーんーどー、言ったらわかるのさ!川で小豆を洗ってはダメ!衛生的にアウトだからね!水道水で洗うの!水道水!」
ボルテージが上がり過ぎた河童社長は、頭のお皿から湯気が出ている。
「興奮しては駄目じゃない。少し冷やしてあげる。フゥー」
雪女のナイスアシストで、河童社長はなんとか生きながらえる。
「ありがとう、雪女。小豆洗いに伝えてよ。川で洗うのは絶対に駄目だってね」
妖怪カンパニー一番の収入源は、小豆洗いと鬼達が作り上げるアンパンだ。
絶品のあんこを包むパンは、もちもちフワフワ。
ちまたでは、人間技とは思えない絶品アンパンとして大人気なのだ。
もちろん、人間技などではない。
鬼のうち下ろす金棒での力技様々だ。
「わかってないよね〜、人間は。僕達の苦労の結晶なのにさ」
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