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大悪大福
2日目
空腹 猫 校舎
丑三つ時、気づいたときにはそこにいた。今夜も、そいつは校舎の屋上に現れた。
見上げるほどに、巨大。大福のように丸い体は、白いふくふくとした毛並みに覆われている。
三角の耳が二つ、ぴこんと立ち上がるのが合図のようだった。
「あおぉぉーん……!!」
毛モノは、吠えた。周囲の空気が、ピンと張り詰める。
――べしゃっ。
唐突に、何かが空から落ちてきた。地面のコンクリートへ叩きつけられたのは、輪郭のはっきりしない黒い塊だった。それも、これで終わりではなく、次から次へと落ちてくる。
とはいえ、十秒もしないうちに騒ぎは収まった。ようやく訪れた静寂の中、きゅるるる、と彼の空っぽらしいお腹の音が響いた。
〈了〉
診断メーカー紹介&お題bot 様(@todomaguro0)
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