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私の胸を高鳴らせたのは、ニ歳の牝馬だった。初めてその仔を見た時、あまりの美しさに、胸がドキドキした。
「なぁ、お父ちゃん。この仔のお世話がしたい」
仕事場である厩舎を遊び場にするのは怒られるけれど、お世話ならいいだろう。春休みが来て、四年生になったばかりの私は、そうお父ちゃんにお願いをした。
「なんや? この仔が気に入ったんか?」
「うん。だって、めっちゃ美人やから」
そう返事をすると、優しく鼻面を撫でた。
「この仔は、キララスズカって名前やで」
「スズカ? 私と同じ名前やん!」
こんな美しい馬と同じ名前やなんて。嬉しくて、すぐに大好きになった。
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