どこまでも青い空

1/35
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
 私の胸を高鳴らせたのは、ニ歳の牝馬だった。初めてその仔を見た時、あまりの美しさに、胸がドキドキした。 「なぁ、お父ちゃん。この仔のお世話がしたい」  仕事場である厩舎を遊び場にするのは怒られるけれど、お世話ならいいだろう。春休みが来て、四年生になったばかりの私は、そうお父ちゃんにお願いをした。 「なんや? この仔が気に入ったんか?」 「うん。だって、めっちゃ美人やから」  そう返事をすると、優しく鼻面を撫でた。 「この仔は、キララスズカって名前やで」 「スズカ? 私と同じ名前やん!」  こんな美しい馬と同じ名前やなんて。嬉しくて、すぐに大好きになった。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!