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なのに心は動かない。
むしろ吐き気がこみ上げて「そう、ありがとう」と答える笑顔がひきつった。
涙も出ない
ただただ不快感だけがこみ上げる。
吐き出したくても吐き出せない不快感に全身が重くなるだけで苦痛でしかなかった。
なんとか吐き出せないか、縋るように友達に電話した。
何気なく話せる友人にとにかく少しでもと吐き出した。
でも、「私、旦那とダメみたい」って言葉を吐くと、皆「お疲れ様、これから大変だけど頑張って」と似たような無難な言葉を返した後は、なんというか同じ言葉の繰り返しで何も私に響かないし、少しでも吐き出しているのに私は吐き出しているような感覚が全くなかった。
それでも話さないよりはマシだし、話している時は落ち着くから私は手あたり次第電話をかけた。
「もしもしー、お疲れー」
「おー、お疲れー」
女友達が同じような返しばかりしてくるから、気づけば私は一番に浮かんだ男友達に電話をかけていた。旦那とは違う、気楽で柔らかい低音ボイスに、心がじんわりと癒される感覚があった。
「ハハハ、元気そうだねー」
「おー、元気ー。……でさー」
「んー?」
「どうした?」
「……えー?」
「大丈夫か、て言いたいけど大丈夫じゃなさそうだな」
「……」
「喋ってみ、聞いてやるから」
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