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気が付くと、私は真っ白な部屋にいた。その部屋にあるベッドに横たわっていたのだ。
「ここは……」
私がそう呟くと、白衣を着た男が顔を覗き込んだ。
「ああ、気が付きましたか?」
「!」
私は身を固くした。見た目は地球人に似ているし、言葉も分かる。だが、ここは別の星なのだ。何をされるか分からない。
私は頭を動かし回りを見た。何かの機械が音を立てて動いている。その機械から繋がった管が、自分の口元に繋がっているようだ。しかも、点滴らしきものまでぶら下がっている。
もしかしたら、どこかで気を失っているを発見され、人体実験をされているのかもしれない。
私は逃げ出そうとした。だが、体がまったく動かない。力が入らないのだ。
私が無理矢理動こうとしているのに気付いたのだろう。男が、私の体を押さえた。
「ああ、駄目ですよ動いちゃ。あなたは、大怪我して運びこまれたんですから」
大怪我? ということは、ここはどこかの星の病院なのだろうか?
私の表情から見てとったのか、男は淡々と話し始めた。
「あなたは覚えていないかもしれませんが、この近くのビルで爆発がありましてね。あなたは、その事故の生存者なんですよ」
事故? どういうことだろう? 私がテレポーテーションで飛ばされて場所が、たまたま爆発してしまったということだろうか?
それとも、テレポーテーションしたことで爆発が起きてしまったのだろうか?
「ご家族に連絡しようにも、何も持っていなかったので困っていたんですよ。今、話せますか?」
男は馴れた手付きで管を外すと、改めて私に質問してきた。
「お名前は?」
「あ……、な、まえ、は……」
管を外されたからか、少し息が苦しい。もしかしたら、この星の酸素濃度が薄いのかもしれない。
「あの、それより……」
「何ですか?」
「ここは……何て星ですか?」
「は?」
質問の意味が分からないのだろうか? 男は、きょとんとしたまま私を見た。
「だから、この星の……名前を、聞いてるんです」
男は不思議そうな顔で私を見ていたが、ようやく質問の意味を理解したのだろう。困ったようにこう言った。
「地球……と言えば良いのかな?」
「えっ? 地球?」
「ええ。星というか、惑星という意味なら地球と答えるのが正解でしょうね」
「そう、ですか……」
私は混乱した。地球とはどういうことだろう? この星も地球という名前なのだろうか?
いや、そもそも火星とか冥王星とかいう名前を付けたのは地球人だ。もし、火星人や冥王星人がいたら、自分の住む星をそんな言い方はしないだろう。きっと、そういう意味の「地球」なのだ。
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