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そんなふうに毎日が過ぎていくうち、気づけば「一カ月」が終わろうとしていたのだった。
あまり実感はないけど、私はかなりの時間を、この家で拓也と一緒に過ごしたことになる。
とはいえ、兄が戻ってきたようだとか、弟ができたようだとかは思わなかった。
あくまで拓也は拓也であり、それ以上でも以下でもない。
確かに、たまにどきりとするくらい初恋の彼の面影と重なって見えることはあった。
でもそれで胸が痛んだりはしなかったのだ。
だから私は、居心地の悪さなんて一切感じなかった。
逆に言えば、初恋というのはそれくらい遠い経験だということかもしれないけれど。
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