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用事に心当たりがないからか、拓也は不思議そうな顔をしている。
私はさっき拾ったボールペンを見せた。
「これ、拓也くんのじゃない?」
すると拓也はひどく驚いたように目を見開いた。
「それ……! どこにあったの?」
勢いよく身を乗り出され、若干面食らう。
「下の部屋に落ちてたんだけど……大事なものだった?」
私は拓也にボールペンを手渡した。
「うん……そう、だね。ありがとう」
(……?)
今何か、かすかな含みを感じたような気がするのは気のせいだろうか。
考えてみるがその答えには手が届かない。
私は釈然としない思いを抱えながらも拓也の部屋を後にした。
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