今だけは夢を見よう-3

2/11
前へ
/32ページ
次へ
私は部屋をまっすぐ横切り、窓へと向かった。 カーテンを開けて鍵へと手を伸ばす。 「何、してるの?」 困惑気味の拓也の声が背中に聞こえた。 私は振り返って微笑みかける。 「今日って、天気良かったよね?」 私は静かに窓を開けると、そこから外へと身を乗り出した。 窓枠をしっかりと掴みながら、左横に位置する小屋根に足をかける。 「ここからね、こうやって、ここを伝えば……ほら! 屋根に上がれちゃうの。河上も来なよ」 窓から心配そうな顔をのぞかせる拓也を手招きする。 細身で、かつ私より手足の長い彼なら難なく上がってこられるはずだ。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加