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胸が詰まって、何も言えなかった。
拓也が見知らぬ赤の他人として過ごそうとした意味が、いい加減私にもわかってしまったのだ。
でも、それでも心のどこかでは、拓也は気づいて欲しかったんじゃないかなと思う。
そのためにあのボールペンは──届けた時の拓也の反応から、わざと落としたわけではないだろう──あそこにあったんだという気がするのだ。
だから私は言った。
「……こうして再会できたの、私は嬉しかったよ」
もし最初から初恋の相手だとわかったうえで接していたら、何かが変わっただろうか。
変わったかもしれなし、変わらなかったかもしれない。
変わったとして、いい方に変わったとも限らない。
──だったら。
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