今だけは夢を見よう-1

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「中学までは市内に住んでいたそうだから、きっとどこかですれ違ってるわね」 笑いながら言う母に上手く反応できず、私は口をぱくぱくした。 すれ違っているどころじゃない。 同じクラスにもなったし、なんなら席が隣になったことだってある。 「いや……なんでまた、うちなんかに……?」 恐る恐る尋ねると、母は「そう!」と手を合わせた。 「拓也くんね、お父さんの学生時代からの親友の息子さんなのよ」 私は自分の耳を疑った。 私の初恋の人が、父の親友の息子!? 詳しく問い質したいところだけど、あいにく父は海外に単身赴任中だった。
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