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「中学までは市内に住んでいたそうだから、きっとどこかですれ違ってるわね」
笑いながら言う母に上手く反応できず、私は口をぱくぱくした。
すれ違っているどころじゃない。
同じクラスにもなったし、なんなら席が隣になったことだってある。
「いや……なんでまた、うちなんかに……?」
恐る恐る尋ねると、母は「そう!」と手を合わせた。
「拓也くんね、お父さんの学生時代からの親友の息子さんなのよ」
私は自分の耳を疑った。
私の初恋の人が、父の親友の息子!?
詳しく問い質したいところだけど、あいにく父は海外に単身赴任中だった。
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