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「あら、そんなに固くならなくていいわよ。たった一歳違いでしょう?」
母が笑って口を挟む。
ん?と思う間もなく彼が答えた。
「そう、ですね。十三年生まれの十九歳なので、僕の方がひとつ年下になります」
「──え?」
思わず彼の顔をまじまじと見つめる。
いや、やっぱり彼は「彼」だ──リビングに入った時、一目見たその瞬間にわかったくらいなのだ。
でもひとつ年下? 一体何を言っているのだろう?
でも彼が嘘をついているとも思えなかった。
とりあえずは話を合わせておく方がいいかもしれない。
「……そんなの誤差よ。だから敬語じゃなくて、普通に話して?」
慎重に言葉を選び、彼に微笑みかける。
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