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今だけは夢を見よう-1
(──あれ?)
玄関のドアを開けた瞬間から、何かいつもと違う感じがしていたのだ。
三和土には見慣れない靴があるし、それは大きさからして男性物だし。
母の「おかえり」の声に出迎えられながらリビングに入ると、ソファーには案の定、男の人の姿があった──が。
「──!」
思わず息が止まりそうになる。
え、だって、この人は……。
「拓也くん、紹介するわね。娘の陽菜よ。今大学二年生」
私の動揺に気づかないまま、母が彼に向かって言った。
すると彼は律儀に立ち上がり、私に向かって頭を下げる。
「初めまして。河上拓也です」
「……っ」
初めまして、ってどういうこと?
あなたは──あなたは、私の初恋の人なのに。
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