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夕方になると伯母さんが畑から帰ってきた。
美和さんと交代で食事を作ることになっていて、今日は伯母さんの当番日らしい。
私は伯母さんの手伝いをすることにした。
「いいのよ? ゆっくりしててくれて。」
伯母さんはそう言ってくれたけど、何日もお世話になるんだから何かしたかった。
……それに。
「伯母さんの料理大好きだったから、作り方とか教えて欲しくて。」
「そうなの? じゃ、遠慮なく手伝ってもらおうかな?」
ちょっと嬉しそうに伯母さんが言った。
遠くで風鈴が鳴る。
「……あの風鈴、いい音ですね。」
「ああ、あれ? 玄関ベルみたいって思わなかった?」
伯母さんがふふっと笑いながら言った。
「でもね、美和さんがうんと気に入ったっていうから、あそこに飾ったの。そうしたら意外にも涼しげでいい音でね。」
食材を冷蔵庫から出しながら伯母さんは続ける。
「こうあるべきだって思うのは実は思い込みで、いつもと違うことをすると新鮮で素敵な発見があるんだなって気付いたのよ。美和さんのおかげでね。」
「……いい関係なんですね、美和さんと。」
私がそう言うと、伯母さんは作業を止めて腰に手を当てて考えるように言った。
「んー……。あの娘ぼーっとしてるから、ちょっとイラッとする時も実はあるのよ、内緒だけど。でも、そうねえ……。私、気ぃ強いから、呑気なあの娘と割とちょうどいい感じなのかもしれないわよ?」
そう言って私の方を見てにっこり笑った。
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