風鈴の音色 花火の景色

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「この風鈴、いい音……。」 私は揺れている風鈴を見上げながら言った。 (風鈴、だよね……?) 銀色の細い円柱状の金属の棒が数本ぶら下がっていて、風が吹くと棒がこすれ合ってリーン……と涼やかに響く。 玄関ドアのチャイムにもいいかもしれない、と思った。 「ああ、それね。美和(みわ)さんが飾ったのよ。涼しげでいい音よねえ。」 おばあちゃんが笑いながら言った。 美和さんというのは私の従兄、貴志(たかし)兄さんの奥さんだ。 今この家に住んでいるのは、おじいちゃん、おばあちゃん、伯父さん、伯母さん、貴志兄さん、美和さんの6人。 貴志兄さんには弟がいるけど、弟の広志(ひろし)ちゃんは今は海外に住んでいる。 アパレル関係の仕事をしていて、忙しいからあまり日本には帰ってこられないそうだ。
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