風鈴の音色 花火の景色

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「さっちゃん。これなんだけど。」 おばあちゃんが白地に紫やピンクの紫陽花が描かれた浴衣を私に見せながら言った。 「今日はちょうど花火大会があるのよ。これ着て、貴志と美和さんと一緒に出掛けてきたら?」 「花火大会! そういえば今日だったっけ?」 久しぶりに来たから忘れていたけど、毎年この地区で花火大会が開かれている。そっか、今日だったんだ。 ここから割と近くにあるグラウンドに屋台も出たりしている、規模も大きめな花火大会だ。 (そこでクレープや綿あめを買うのが楽しみだったっけ……。) 私は懐かしいと同時に、今夜が楽しみになった。 ……でも一方で、静かに考えごとをしたかったな、とも思った。 私は溶けかけた残りのかき氷を口に入れた。
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