風鈴の音色 花火の景色

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「……そっか。それは、色々考えちゃうね……。」 「はい……。」 蒸しあがったとうもろこしを器に入れ、縁側に持ってきて2人並んで座った。 さっきまで近くにいたおばあちゃんは、近所の友達の家から帰ってきたおじいちゃんと一緒に自分の部屋に戻っていった。 「……美和さんは、伯母さんと上手くやってるんですか?」 「んー。今は上手くやってるわよ。でも最初は、お互いに気を遣い過ぎて、ぎくしゃくしちゃってね。」 ふふっと美和さんが笑う。 「料理の味付けとか家事の進め方とか、やっぱりお互い違ったりとか。でも一緒に生活していくうちに、いいトコで落ち着いたって感じかな?」 「そうなんですか……。」 私にはまだ想像ができない。 「……あのね? 私達結婚して7年経つのに、まだ子供ができなくてね。」 「……。」 私は何て言っていいのか分からず、次の言葉を待った。 「お義父さんによく、子供はまだかーって言われたの。もちろん、悪気が無いのは分かるんだけど、辛い時もあったのよ。」 「そうだったんですね……。」 「でもある時、お義母さんが言ったの。」 『子供は授かりものなんだから、黙ってなさい!』 気の強い伯母さんらしい。ちょっと笑ってしまった。 それからは伯父さんも何も言わなくなったとか。
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