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アリサは立ち上がると、狂ったように笑いながら玄関前の階段を駆け下りて行った。
「アリサ……!」
凛太郎が呼び止めようとしたその時、
彼のすぐ横を瞬間的な風が舞い、気付くと天音がアリサの後を追っていた。
「天音!!」
凛太郎がすぐ後を追いかけて行くと、
アパートの前を通る道路のすぐ手前で
天音がアリサの二の腕を掴んでいる場面に遭遇した。
「離して!また邪魔をするつもり?!」
「アリサさん!死のうなんて考えないでください……っ!」
「いい加減にしてよ、何度私から大切な人を奪ったら気が済むのよ!?」
「それに関しては謝ります!
誠心誠意謝りますから、どうか自殺だけは踏みとどまってください!!」
二の腕を掴まれ振り払おうにも、手首を怪我した痛みや
素肌に触れないよう無意識に動作が制限されてしまったアリサは
結局その状態から動けないまま、後から追いついた凛太郎にも反対側の腕を掴まれ
とうとう車に飛び込むことは叶わなかった。
「……もう、嫌……」
アリサは涙を流しながら、力なくその場にへたり込んだ。
「せっかく凛太郎に釣り合う女になろうと努力してきたのに……。
何の努力もしてない、元から容姿に恵まれた安達さんには勝てないのね……。
私が必死になっても、最初から愛される資格を持ってる人には敵わない。
なんでこんな残酷な時代で生まれ変わってしまったんだろ……」
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