図書館で

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図書館で

「これと……あと、これもお願いします!」 山のように抱えた分厚い本を、一冊一冊タイトルを確認しながらカウンターに置いていく。 「……」 目の前に本を積み上げられた凛太郎は、呆気にとられたような表情でそれを見つめていた。 「……余計なお世話かもしれませんが」 凛太郎は戸惑いながらも、初めてマニュアル外の言葉を口にした。 「こんなに沢山借りて帰るくらいなら、 ここで読んで行けばいいのでは?」 「!!」 凛太郎に話しかけられた天音は目を見開き、それと同時にぽっと頬を染めた。 彼女が何故顔を赤くしたのか、凛太郎には予測できなかったが 天音の方は彼に自分の意図を見抜かれたのでは、と内心胸をバクバク高鳴らせていた。 どうしよう、何か言い訳しないと…! 「その……周りに人が居ると、集中できなくて……!」 「——はぁ」 天音が精一杯の返答をしたのに対し、凛太郎の方は興味なさげな反応を見せた。 ……なんだ、気付かれた訳じゃないのか。 バレなくて良かった——けど、あまり関心なさそうな返事をされちゃった。 「返却は一週間後です」 「……ありがとうございました」 無駄に重くなったトートバッグを よろけそうになりながら肩に背負うと、 天音はしょんぼりと図書館を後にした。
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