27人が本棚に入れています
本棚に追加
図書館で
「これと……あと、これもお願いします!」
山のように抱えた分厚い本を、一冊一冊タイトルを確認しながらカウンターに置いていく。
「……」
目の前に本を積み上げられた凛太郎は、呆気にとられたような表情でそれを見つめていた。
「……余計なお世話かもしれませんが」
凛太郎は戸惑いながらも、初めてマニュアル外の言葉を口にした。
「こんなに沢山借りて帰るくらいなら、
ここで読んで行けばいいのでは?」
「!!」
凛太郎に話しかけられた天音は目を見開き、それと同時にぽっと頬を染めた。
彼女が何故顔を赤くしたのか、凛太郎には予測できなかったが
天音の方は彼に自分の意図を見抜かれたのでは、と内心胸をバクバク高鳴らせていた。
どうしよう、何か言い訳しないと…!
「その……周りに人が居ると、集中できなくて……!」
「——はぁ」
天音が精一杯の返答をしたのに対し、凛太郎の方は興味なさげな反応を見せた。
……なんだ、気付かれた訳じゃないのか。
バレなくて良かった——けど、あまり関心なさそうな返事をされちゃった。
「返却は一週間後です」
「……ありがとうございました」
無駄に重くなったトートバッグを
よろけそうになりながら肩に背負うと、
天音はしょんぼりと図書館を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!