きみは、運命の人だから。

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それから、8回目までの彼の浮気相手は全部女の子だった。 わかりやすく嘘をついて、わかりやすい証拠を残す。 彼と共通の友人から知らされることもある。 もう怒る気力すら湧かなくなった。 そんなに他がいいなら、そっちへ行けばいいんだって別れ話をしたことも一度や二度じゃない。 なのに、やっぱり彼が好きな僕は、ずっとずっと彼が好きだった僕は、話している途中で涙が出て来て、頭の中がぐちゃぐちゃになってきて、そのうちに口が上手い彼にまるめこまれて、気づけばまた有耶無耶にされていた。 身体全部が溶けるみたいなキスをされて、僕の弱いところ全部を知り尽くした彼に押し倒されたら、嫌だって思っていても最後には結局甘く哭かされ続けて終わってしまう。 「カナメが一番好きだよ。」って下らなすぎる適当な言葉に、それでもまだ心が疼く自分を世界で一番バカだって思う。 なのに、彼の体温にすぐに溺れる自分が心底嫌いだった。
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