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彼の名はウミガメのマークスだ。
ウミガメのマークスは、海岸でSUV車に踏まれても海洋ゴミのプラスチックを飲み込んで息を詰まらせても、何とか一命をとりとめる、実に悪運の強い不死身のウミガメだった。
「この大海原の向こうに、1面のマングローブの森が生い茂ってる美しい海岸があるんだ・・・」
ウミガメのマークスは、手足のフリッパーで海水を漕いでいく度に期待に胸が湧いてきた。
「ドキドキするっ!ワクワクするっ!
早く着かないかなあ?
あのマングローブの森のある美しい海岸は、俺が何度ものピンチに何度も何度も助けてくれた、あのドードーさんの生まれ故郷なんだ・・・
直に俺が行って、直にドードーさんに感謝の言葉を言いたいんだ・・・」
ドードー。
ドードーは世界中の山野に困りはてた動物達が居るならば、直ぐ様何処からともなくあられて、数々の奇跡を起こしている神出鬼没の不思議な鳥だった。
「ドードーさんは、逢う度に何時も笑ってるからね。
ドードーさんの笑顔を見ると、どんなに荒んでても心に安らぎを覚えるんだ。
あの海岸に棲む仲間達は、きっとみーんなドードーさんみたいに笑いが絶えない愉快な奴らだろうな・・・」
ウミガメのマークスは、まだ見ぬ美しい海岸に思いを馳せながら大海原の真っ只中をゆっくりと泳いだ。
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