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「ん?何だか海が臭くないか?」
ウミガメのマークスは、シャチのタマフの教えて貰った通りの方向へ泳いだ途中、鼻が捩れるような息も出来ない位の臭いに苛まれた。
「シャチの奴、もしや嘘の方向を教えたな?!」
だが、そうでも無かった。
海面の遥か向こうに、熱帯のマングローブの木々が生い茂ってるのが見えていたからだ。
「なんなんだ?!段々海が濁っていきたぞ?!
うっ!!なっなんだこりゃ!!」
べちゃ!!べちゃ!!べちゃ!!べちゃ!!べちゃ!!べちゃ!!べちゃ!!べちゃ!!べちゃ!!べちゃ!! べちゃ!!
ずるっ!!
「うっ!!」
突然、海面を脚のフリッパー搔こうとしたとたん、ヌメっとした感触に違和感を覚えた。
「何なんだ?!キモい!!ヌルヌルする!!臭い!!苦しい!!息が出来ない!!」
しかし、目の前にマングローブの木々が迫ってきている。
それでもウミガメのマークスは、泳ぐのを止めないでこの臭くてヌメヌメする海域を進んでいった。
べちゃ!!べちゃ!!べちゃ!!べちゃ!!べちゃ!!べちゃ!!べちゃ!!べちゃ!!べちゃ!!べちゃ!! べちゃ!!
「このキモい海域は、あのマングローブの楽園へ行くまでの試練だ・・・!!
きっと!!」
ごつん。
「?!」
鼻面に何かが触れる感触がした。
「何だ?この目の前にゴロゴロしてるのは・・・えっ?
ええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!」
ウミガメのマークスは仰天した。
ウミガメのマークスの目の前に転がっていたのは、イルカの夥しい死骸だったのだ。
「何で・・・魚の死骸も・・・これはいったい・・・?!」
ウミガメのマークスは、回りのあまりの臭さに息を止め、イルカの死骸の上を乗り越えて這ってマングローブの海岸へ向かった。
「もう少しだ・・・って・・・えええええええええええええええええええええ!!
なんじゃこりゃーーーーー!!」
ウミガメのマークスの全身が真っ黒になっていたのだ。
それどころか、海岸周辺全部が得体の知れない真っ黒な物体で覆われていたのだ。
「何なんだよ・・・何で・・・何でだよ・・・!?」
ウミガメのマークスは、取り乱してベソを搔いて辺りを見回した。
「た・・・タンカー!?」
やっと、ウミガメのマークスはこの周辺の事態が解ったとたん思わず発狂した。
「この1面ヌメヌメして臭い物体は、あのタンカーから流れてきたオイルだぁぁぁぁぁ!!!!!」
その時だった。
ぺたっ、ぺたっ、ぺたっ、ぺたっ、ぺたっ、ぺたっ、ぺたっ、ぺたっ、ぺたっ、
「終わりだよ・・・世界の終わりだよ・・・」
オイルまみれの海岸の向こうから、小太りで不恰好な1羽の鳥が歩いてきた。
「ドードーさん!!あなたはドードーさんでしょ?!逢いたかっ・・・」「それよりカメさんや・・・おまえさんは、何処からきたんですかい・・・?」
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