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「恭介さん、私と結婚してください」
後になって彼は、プロポーズをしたのは私からだと言うようになった。
子供たちも、私からお父さんを捕まえに行ったのだと思っている。
だけど本当は知っているのだ。
彼が、きちんとプロポーズをし直したかったと思っている事を。
私が申し込む形の「プロポーズ」をしたのが、悔しかったんだろうな。
いつか、もう一度言ってくれたらいいなとは思うけれど、照れ屋の彼にはハードルは高いだろう。
今はせいぜい、”月がキレイだな”が精いっぱいに違いない。
でもそれでいい。
最初はお互いの名前すら聞けなかった私たちが、ここまでこれたんだから。
きっとこれから、もっと気持ちの伝え方を学んでいけばいいんだ。
完
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